夏休み突入!刑法の学習方法

1 はじめに

 前回の民訴法に引き続き、今回は論文刑法対策のための学習方法を書きたいと思います。

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2 論文刑法の考え方

 再度繰り返しますが、インプットはアウトプット(論文)を前提として行うことが大前提ですから、まずは論文での刑法の考え方を確認します。

 

 そもそも「犯罪とは、構成要件に該当する違法有責な行為」です。刑法はこの定義から全てが始まります。

 ですから、総論の問題では「構成要件該当性」→「違法性」→「責任」の順に検討することになります。他方で各論の問題では主に「構成要件該当性」を中心に論じることになります。

 そして構成要件該当性のところでは、「実行行為」→「結果」→「因果関係」→「構成要件的故意」というように客観→主観の順で検討します。必ずこの順序で検討しましょう。

 

 ここまでの体系的な枠組みを理解できれば、あとはこの順序に従って、法的三段論法により検討していくだけです。

 

3 インプット(基本書の通読)のポイント

 ポイントは2つです。

 まず1つ目は、体系的な上の枠組みのうちどこの議論か意識して基本書を読むということです。例えば、有名な論点である「原因において自由な行為」は、実行行為の問題と考える見解と責任レベルの問題と考える見解があります。この議論は、上記の体系を理解したうえでそれと関連付けて学習しないと身につかないと思います。

 つぎに2つ目。条文の文言および制度・立法趣旨と関連付けて定義をしっかり暗記することです。例えば事後強盗罪における「暴行」(238条)の定義。「暴行」の定義は犯罪によって様々ですが、同条の立法趣旨から「暴行」は以下のように解釈されます。

事後強盗罪の立法趣旨は所定の目的で行われる窃盗後の暴行・脅迫が財物奪取の手段としての暴行・脅迫と同視できる点にある→財物奪取の手段としての暴行・脅迫と同視できるためには「暴行」とは窃盗に機会に行われ、かつ、反抗を抑圧するに足りる程度のものと解釈する。』

 

4 さいごに

 刑法はここまでにします。刑法は学説に踏み込みすぎる必要はありません。まずは判例をしっかり理解しましょう。基本刑法は判例ベースに記載されており、司法試験までこれで十分だと思います。 

 つぎは、刑訴法について書きますね。

                                                    2017.8.3