予備試験口述式:民事実務の対策

1 はじめに

 前回は口述試験の全体像について整理しました。今回は、民事科目の対策について書きます。*試験対策は人それぞれですから鵜呑みにせず、1つのサンプルとしてご覧ください。

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2 受け答えの基本

 まず口述試験での受け答えの基本について。ポイントは以下2点のみだと考えています。

①問われたことのみに答える

②語尾は断定する・言い切る(「◯◯と思います。」ではなくて「◯◯です。」と断定する)

 

 まず①について。口述試験では試験委員が聞きたいことが決まっていますから、問いだけを正確に答えて、墓穴を掘らないことが大切なように思います。したがって、結論だけを聞かれたら結論だけを、理由づけまで聞かれたら理由づけまで答えましょう。まあ試験として「問い」に対して正確に答えることは当たり前ですよね。

 

 次に②について。論文試験との大きな違いは間違っていれば、誘導が入ることです。ですから、あやふやな返答をするのではなくて、自信を持って自分なりの答えを言い切りましょう。「◯◯と思います。」と答えたら、「思うってどういうこと?」と詰められたという経験談を聞いたことがあります。こういういう詰められる時間で他の受験生が到達した問題まで、到達できなかったというのが最悪の事態です。この事態は回避しましょう。誘導入っても、いきなり大きく減点というわけではなさそうです(再現をみてもみんなどこかしらで、誘導入っています)。

 

3 民事実務の出題範囲

 民事実務の出題範囲はざっくり分けると以下の通りです。

①要件事実(訴訟物→請求の趣旨→請求原因→抗弁の順番)

②民事保全法・民事執行法

③実体法(民法)の知識

④民事訴訟の手続き

(⑤法曹倫理)

 

4 具体的な対策

 ぼくが口述のために2週間で実際にとった対策を書きます。冒頭でも書きましたがあくまで1つのサンプルとして参考にしてください。

 

 まず①要件事実。(いまのところ)民事では要件事実から問われます。ですから、これは確実に受け答えをして基準点に大きく近づきたいと考えました。そのため、一番時間を割いて勉強をしました。

 対策ですが、『紛争類型別』に載っている、攻撃防御方法のまま「訴訟物」、「請求の趣旨」、「請求原因」、「抗弁」を暗記しました。理由づけまで含めて反射的に回答できるように文字通り丸暗記です。実際、ぼくのときは時効取得を原因とする所有権移転登記請求訴訟をベースに出題がされましたが、『紛争類型別』と同様の攻撃防御方法でした。

 そして『紛争類型別』だけでは、理由づけが不十分なので大島先生の『民事裁判実務基礎 上巻』を参考書として使用しました。

 次に②民事保全・民事執行法について。この分野まで事前に学習をしている受験生はほぼいませんから、この分野の出題が一番不安だと思います。ぼくも論文合格発表後に初めて勉強しました。しかし、基本的な条文知識しか聞かれません。ですから、薄い教科書を使用して広く浅く学習をしていれば十分だと思います。

 使用した教材は『伊藤塾の基礎マスター』です。数ページしかありませんが、口述対策としてはこの程度で十分だと思います。また和田先生の『基礎からわかる民事保全法・民事執行法』を購入しましたが、情報過多でした。基礎マスターの補完として使用したのみです。

 どの程度深く学習する必要があるかは、実際に過去問(再現)を見てください。過去問を見ながら、テキストを読み進めることで、出題レベルを把握できると思います。

 

 そして③実体法(民法)の知識について。口述ですが、論文試験で要求されるような基本的な定義や制度趣旨、要件・効果は問われます。なので、民法の復習をしておきましょう。ぼくは、論証の見直しと条文の素読をしました。これは単なる民法の復習と思っていいです。

 

最後に④民事訴訟の手続きについて。主に管轄と移送が問われます。あまりなじみのない範囲だと思いますが、条文知識が問われるだけですから、短答の復習・過去問を解きながら条文をおさえておけば十分だと思います。  

 

5 さいごに

 さいごに、口述式試験は多くの人にとって初めての試験形式だと思います。ですから、慣れるために必ず模試を受けましょう。ぼくは伊藤塾と辰巳で受けました。

 口述になると奨学生に枠もそれなりにあるので、申し込んでみてください。どの予備校も口述模試は人数制限がありますから、論文の合格発表後すぐに申し込みましょう!