夏休み突入!行政法の学習方法

1 はじめに

 前回の刑訴法に引き続き、今回は論文行政法対策のための学習方法を書きたいと思います。

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2 論文行政法の考え方

 インプットはアウトプット(論文)を前提として行うことが大原則ですから、まずは論文での行政法の考え方を確認します。

 

 行政法の論文試験では、「①訴訟類型の選択→②訴訟要件の検討→③本案の検討」このうちのいずれかが問われます。

 まず①訴訟類型の選択。問われる訴訟は主に行訴法で定められている抗告訴訟です。

 つぎに②訴訟要件の検討。抗告訴訟の原則は取消訴訟ですから、まずは取消訴訟の訴訟要件を理解したうえで、論じることが先決です。取消訴訟で特に問題となる訴訟要件は、「処分性」、「原告適格」、「狭義の訴えの利益」ですから、この3つを理解するところがスタートです。

 最後に③本案の検討。違法事由は「実体法上の違法事由」と「手続上の違法事由」です。手続上の違法事由で注意してほしいのは、「手続上の瑕疵→手続上の瑕疵が違法事由となる」という2段階で論じる必要があるということです。

 

3 インプット(基本書の通読)ポイント

 まず①訴訟類型の選択。これは当該訴訟が認容されるとどのような効力が生じるかを理解する必要があります。たとえば、取消訴訟が認容されたとしても原告が望む処分がされるわけではありません。そのため、義務付け訴訟も併合することになります。

 仮の義務付けは本案の問題ですが、原告の望みを叶えるために訴訟類型の選択と一緒に検討するべき事項ですから、仮の義務付けの効力も一緒に押さえておきましょう。

 

 つぎに②訴訟要件の検討。ポイントは当該訴訟要件がなぜ要件となっているかを理解することです。たとえば、差止訴訟の「重大な損害」という要件は取消訴訟と差止訴訟とのルート整理のための要件です。そのため、「重大な損害」とは事後的に取消訴訟を提起して執行停止を申し立てても回復することが困難な損害という解釈が導きだされるわけです。処分性や原告適格も同様になぜ要件となっているかを理解するために基本書を読みましょう。この理解が充実した「あてはめ」につながってきます。

 

 さいごに③違法事由。これはまず演習をやってみることです。演習をやるなかで理解不足だった行政法総論の知識を基本書で復習してください。

 

4 さいごに

 行政法はこれで終わります。行政法のおすすめの基本書は「基本行政法」です。論文・短答ともにこれ一冊で十分です。